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美少女には不幸が似合うのか!? 『アルゼンチンババア』『ママの遺したラヴソング』〈旅の誘い度★★★☆

『アルゼンチンババア』と『ママの遺したラヴソング』は、母親の死がきっかけで始まる、18歳の少女が主人公のお話。両方を観比べると、さまざまなところで共通項を見いだすことだろう。そして、鑑賞後は希望や幸せが心にじんわりしみわたる…のである。 春休み中の娘と妻で、昨日は『ゴーストライダー』、今日は『ナイトミュージアム』と映画三昧しているので、ひとりで『アルゼンチンババア』を観た。よしもとばななの同名の小説の映画化だが、以前原作を読み終わった後の不思議な感じが気になっていたので選んだのだ。何しろタイトルがいい。アルゼンチンババア…。 ◆アルババの涌井みつこの場合 主人公の涌井みつこ(堀北真希)はごく平凡な高校生だが、大好きな母親の死をきっかけに、彼女を取り巻く環境が一変する。若くして母親を失うという不幸は身の回りでもあり得る話ではあるが、彼女の場合、父親の失踪も同時に経験する。妻の死を直視できない父、悟(役所広司)はすべてを放り出していなくなってしまったのだ。 その父親が半年後に見つかってみれば、町はずれの草原に建つぼろビル(通称アルゼンチンビル)に住む風変わりなアルゼンチンババアことユリ(鈴木京香)と一緒に、屋上で「Shall we ダンス?」しながら住んでいた、という情けない状況。そんな逆境にもめげず、雨にもマケズ、風にもマケズ、グレもしないで、健気に前向きに生きるみつこが切ない。 まるで異空間に住む魔女の屋敷に足を踏み入れるようなつもりで、みつこは父親奪還に向かう。そんな彼女を迎えたのは汚いしみだらけの臭い服で泣きながら抱きしめてくれるユリ…。いくら妻を深く愛していたからといって、高校生の娘をほったらかしにしてしまう父親を許せるか許せないかという議論は置いておくとして、みつこはみっともない父親を身勝手で弱い部分もひっくるめて許してしまう(偉いぞ!みつこ)。そして、父娘の哀しみをやさしく癒し、絆をよみがえらせてくれたのは、マテ茶と蜂蜜(媚薬入り?)と情熱のタンゴとユリの大きな愛という魔法だった。 観終えた後も、バンドネオン奏者の小松亮太が奏でるアルゼンチン・タンゴの余韻が温かく包み込んでくれて、さわやかな幸福感を残してくれる、そんな作品だった。劇場を出て、すぐにサントラ盤を買った。 ◆ママラブのパーシーの場合 母親の死がきっかけで始まるもうひとつの映画が、『ママの遺したラヴソング』。こちらは、疎遠になっていた母親の死がきっかけで、日常と別れを告げる18歳の少女パーシー(スカーレット・ヨハンソン)が主人公だ。彼女は父親も知らず、母親からも離れて育った。特に母親からは少しも愛されていなかったと思っている。母親が亡くなるまで親子3人で楽しく暮らしていた『アルゼンチンババア』のみつこと違うところだ。18歳になったパーシーは、学校へも行かずに怠惰な生活を送っている(雨にも風にも負けてしまったクチである)。 ニューオリンズ※1の生家に戻った彼女を迎えたのは、元文学教授のボビー・ロング(ジョン・トラボルタ)と彼を慕う作家志望の青年ローソン(ゲイブリエル・マック)だった。遺言で家は3人に遺されていた。住む権利を主張する見知らぬ男性を前に一度は逃げ出すパーシーだが、ほとんど記憶のない母の生涯への関心が勝り、嫌々ながら共同生活を始めることに。 ニューオリンズ独得のロマンティックで美しい風土や人情味溢れる仲間たちに囲まれ、素晴らしい歌手として、ひとりの女性としてこの町に暮らし、人々に愛されていた母の姿をなぞっていくパーシー。そして、母親の実像を一つひとつ手にし、母親の自分への愛を確認することで、彼女の心も癒されていく。始めはいがみ合っていたパーシーとボビーの間にも奇妙な絆が生まれ始める。そして驚きのラスト、母親がパーシーに宛てた一通の手紙に記された「真実」が、運命を大きく動かす。
※1 ニューオーリンズ
米国南部ルイジアナ州最大の都市であり、ジャズが生まれた音楽の都である。亜熱帯に近い気候で夏は暑く湿度も高い。平均海抜はマイナス1.5m 、周囲を河や湖沼に囲まれスープ皿の異名がある。本作の中では、地上に埋葬室を設けた独得の墓(地下を掘ると水が沸きでるので土葬が行えない)、フランス、スペイン統治時代のヨーロッパ的な雰囲気を残すフレンチ・クォーター、ジャズをはじめとしてさまざまな音楽が演奏されるバーボン・ストリートのライヴハウス。映画『欲望という名の電車』で有名になった路面電車(desire=欲望という名の路線は現在はバス路線になっている)なども登場する。ちなみに本作の撮影がが行われたのは、2005年8月のハリケーン、カトリリーナの被災以前である。
◆旅の誘い度★★★☆ ■『アルゼンチンババア』作品データ 監督・脚本:長尾直樹 脚本協力:金子ありさ 原作:よしもとばなな『アルゼンチンババア』 出演:役所広司、鈴木京香、堀北真希、森下愛子、手塚里美 音楽:周防義和(作編曲) 演奏:小松亮太&オルケスタ・ティピカ 配給・宣伝:松竹/キネティック ▼『アルゼンチンババア』公式サイト http://www.arubaba.com/ 2007年3月24日(土)より全国ロードショー! ■『ママの遺したラヴソング』作品データ 原題:A Love Song for Bobby Long(2004) 監督・脚本:シェイニー・ゲイベル 原作:ロナルド・イヴァレット・カップス 出演:ジョン・トラヴォルタ、スカーレット・ヨハンソン、ガブリエル・マック、デボラ・カーラ・アンガー、デイン・ローデス 配給:アスミック・エース ▼『ママの遺したラヴソング』公式サイト http://mamanolovesong.com/ 2007年4月7日よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開!
『アルゼンチンババア』イルカが大好きだった母と南の島で過ごした楽しい想い出がよみがえる■いまだにできるだけ機械を使わずに、手作業で石を彫る職人気質の父、仕事に対しても妻に対しても純粋で一途だった。マンガチックなイルカの墓石には、先祖代々の墓と刻んである。イルカが大好きだった母と南の島で過ごした楽しい想い出がよみがえる昔はタンゴやスペイン語を教えていて、厚化粧と派手な服装で目立っていたのがアルゼンチンババアの名の由来■昔はタンゴやスペイン語を教えていて、厚化粧と派手な服装で目立っていたのがアルゼンチンババアの名の由来。悟はユリからタンゴのレッスンを受けながら一緒に暮らし、妻の死から立ち直る力をもらうユリはみつこにとってもかけがえのない存在になり、小さな魔法と大きな贈り物をしてくれる■アルゼンチンビルはの上からはハンパ(アルゼンチンの草原)が見渡せる。ユリはみつこにとってもかけがえのない存在になり、小さな魔法と大きな贈り物をしてくれる(C)2006「アルゼンチンババア」製作委員会『ママの遺したラヴソング』パーシーの夢はレントゲン技師になること■かつて優秀な文学部教授だったボビーロングは、会話のはしばしで名著からの引用を行う。パーシーの夢はレントゲン技師になること。その理由に「光に透ける骨が体内の肖像画みたいだから」と詩的な表現をするなど文学的なセンスは共通するものがあるあどけさのまだ残るティーンエイジャーを好演したスカーレット・ヨハンソン\■パーシーは一見生意気に見えて、実は親の愛情に飢え、心の奥に孤独を抱えている。あどけさのまだ残るティーンエイジャーを好演したスカーレット・ヨハンソン。『マッチポイント』(2005)で見せたセクシー路線直前の彼女の魅力にも注目

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