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地球の歩き方編集部・取材&日記

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2009年12月18日

北部エストニア――静謐なる田園の魅力

地球の歩き方編集部・FH

エストニアは、遠い。とは言っても、距離的にはさほどのことはない。日本からフィンランドのヘルシンキまで約9時間30分、飛行機を乗り継いでバルト海を越え首都タリンまで約30分。直行便こそ飛んでいないが、接続さえよければスペインやスイスよりもはるかに近い。問題は心理的な距離感だ。日本とのつながりは大相撲の力士・把瑠都の存在くらい。エストニアと聞いて、すぐにその位置や国のイメージが浮かぶ人は、そう多くはいないだろう。

エストニアへの旅行者は、ほとんどが世界遺産である首都タリンの歴史地区をめざす。中世の面影が色濃く残るタリンの旧市街は、13世紀以来、ハンザ同盟都市として発展し、北欧でもっとも良く保存されている街並みのひとつだ。この歴史地区は確かに見るべき価値は高いが、エストニアの魅力は実はこれだけではない。

エストニアは面積約4万5000平方キロ。九州を一回り大きくしたくらいの広さだ。人口は約130万人(ちなみに九州は約1300万人)で、そのうち40万人が首都タリンに暮らす。したがって、国土の多くは人家や人影のない畑や森、荒野が続く。今回の旅は、タリンから車で2時間ほど走り、まだ日本ではあまり知られていないタリン郊外、北部エストニアを訪ねた。

北部エストニアの魅力は、田園や森林の静謐な美しさにつきる。特に中心となるラヘマー国立公園は森林だけでなく、川や海、湿原などあらゆる自然の宝庫となっている。ここは欧州でも希少種となった鳥類や動植物が多数生息する貴重な場所だ。このあたりは、かつてドイツ系の貴族が住み、広大な荘園を所有していた。そのため、彼らの住まいであったクラシックな雰囲気の館があちこちに点在している。

これらの館は、ソ連時代には国営の施設として青少年の研修などに利用されていたが、近年になって修復改装され、ホテルやレストラン、博物館などに活用されるようになった。たとえば、『地球の歩き方A30・バルトの国々』にも掲載されている、「パルムセの館」「サガディの館」などは18世紀の建物だが、敷地内に建つホテルの室内は近代的で実に快適だ。レストランのレベルも高い。館の背後には美しい庭園が広がっている。

特筆すべきは、ヴィフラ村の「ヴィフラの館」だ。建物こそ18世紀のものだが、荘園の歴史は15世紀までさかのぼる。広大な敷地内には27の建物があり、うち12の建物が修復され、2008年にホテルとしてオープンした。元の馬小屋を改装したハイクラスなスパ施設が人気を集めている。ホテルの部屋数は44室を数え、レストランやバー、サウナなども完備。離れ形式の建物にも床暖房やインターネットが整備されている。

ここでは自転車がレンタルできる。料金は1時間350円程度。周囲には森や丘が広がり、その間をぬって、街道がはるかに続く。ほとんど平坦な土地なので、気軽に自転車で近くの荘園や国立公園内をめぐることも十分に可能だ。訪問時は真冬の景色だったが、並木道を自転車で走れば、さぞ気持ちが良いことと思う。木々の緑が光り、草花の咲き乱れる5月が最良の季節と聞いた。その時季に、ぜひゆっくりと滞在してみたい。
■DATA

「パルムセの館」
http://www.palmse.ee/
●「サガディの館」
http://www.sagadi.ee/
○「ヴィフラの館」
http://www.vihulamanor.com/
エストニア観光局
http://visitestonia.com/

●エストニアの概要
「地球の歩き方」 国別基本情報
パルムセの館本館 ■パルムセの館本館。エストニアでもっとも早く修復された領主の館

地下にあるレストラン ■パルムセの館本館の地下にあるレストラン

サガディの館本館 ■サガディの館本館。正面右手には森林博物館がある

サガディの館のレストラン ■サガディの館のホテルにあるレストラン

ヴィフラの館本館 ■ヴィフラの館本館。内部はクラシックな装いのホテル

かつての馬小屋を改築したスパ ■かつての馬小屋を改築したスパ。マッサージは1人45ユーロ、スパは1人74ユーロから(朝食付きホテル1泊セット料金)

森に向かって続く平坦な並木道 ■平坦な並木道が森に向かって続く。車はほとんど走っていない



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