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ドイツ編〜シュトレン〜
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クリスマスの伝統お菓子
ドイツ編〜シュトレン〜

地球の歩き方編集部:欧羅巴三太


この時期クリスマスに向けて華やぐヨーロッパで、昔から愛されている定番のお菓子を集めてみました。第1弾はドイツのシュトレン(Stollen)をご紹介します・・・

地球の歩き方編集部:欧羅巴三太

クリスマスの伝統お菓子今年も残すところわずかとなりました。大切な人との語らいに、がんばった自分へのご褒美に、甘いお菓子でひと息入れませんか? この時期クリスマスに向けて華やぐヨーロッパで、昔から愛されている定番のお菓子を集めてみました。
ヨーロッパのクリスマス伝統お菓子、第1弾はドイツのシュトレン(Stollen)をご紹介します。■⇒第2弾 ベルギーのスペキュロス(Speculoos)はこちら■⇒第3弾 スペインのトゥロン(Turron)はこちら■⇒第4弾 フランスのトレーズ・ディセール・ド・プロヴァンス(13 desserts de Provence)はこちら■⇒第5弾 イタリアのゼルテン〜アルト・アディジェ風(Zelten dell'Alto Adige )はこちら■⇒第6弾 スロヴェニアのポプルトゥニク(Poprtnik)はこちら■⇒第7弾 イギリスのミンスパイ(Mince Pie)はこちら■⇒第8弾 イギリスのクリスマスプディング(Christmas Pudding)はこちら
クリスマスの伝統お菓子
クリスマスの伝統お菓子ドイツ編〜シュトレン〜
本格的な冬の訪れとともにドイツ各地でクリスマス市が立ち始める頃、町のパン屋さんやお菓子屋さん、カフェやホテル、そして一般家庭でもシュトレンがお目見えし始めます。
今でこそさまざまなバリエーションがありますが、正統派のシュトレンは大人の肘から指先くらいほどの大きさはあってずしりと重く、アーモンドなどのナッツ類とレーズンやレモンの皮などのドライフルーツ、クローブほか香辛料がたっぷり入った小麦パンで、バターで塗り重ねられた粉糖で真っ白にお化粧されています。
かなり日持ちがするもので、11月の声を聴くと店や家庭で代々受け継がれてきたレシピを忠実に守りながら大量のシュトレンがつくられます。故郷の味を、遠く離れた海外に住む家族や友人に宛てて贈ることも多く、質実剛健ながら素朴でどこか懐かしい味のする、この愛すべきシュトレンを心待ちにしているドイツ人を皆、笑顔にしてくれます。
作りたてをこっそり味見しようものなら、きっと厳しく注意されるか怪訝な顔をされるはず。ドイツではクリスマスを心待ちにしながら、待降節(=アドベント。イエス・キリストが降誕した12月25日から4つ前の日曜日に始まり同24日までのクリスマス準備期間)のあいだ、シュトレンを薄くM字型の山を崩さないよう注意しながらスライスして味わうのです。
シュトレンを形づくる際、パン生地を縦長に二つ折りにして仕上げるのですが、折り重ねる上半分よりも少し、下半分が見えるようにずらして重ねます。ちょうど着物の袷のような感じです。今では便利な専用の焼き型もありますが、そんな由来の名残りか、スライスしたときの断面のM字の中心が微妙に偏っているものがほとんどです。
発酵バターと大量の粉糖コーティングのおかげで長期保存が効き、秋の実りへの感謝と新たな春への豊穣祈願を込めた木の実、干し果物、そしてかつては金よりも価値があった貴重な香辛料をふんだんに使ったシュトレンは、日に日に熟成して芳醇な香りを楽しめるようになります。
シュトレンの歴史は古く、その名が公文書に最初に登場したのは1329年のこと。当初は何も入っていないシンプルな白パンだったそうで、そこに現在のようなたっぷりのバターや牛乳が加えられるようになったのは、15世紀に入ってザクセン選帝侯がいわゆる「バター許可書」をローマ教皇から取り付けて以降のこととされています。
その後16世紀後半にキリスト教化の影響でクリスト・シュトレン(Christstollen)と呼ばれるようになります。シュトレン自体はドイツ語で坑道、トンネル、滑り止めといった意味があり、なぜこのお菓子がそう呼ばれるのかはっきりしたことはわかりません。ただ、シュトレンの色と形は幼子イエスのおくるみ姿を模したものだともいわれています。
かつて「エルベ川のフィレンツェ」と謳われたザクセン王国の首都ドレスデンでは「バター許可書」の一件から、選帝侯へ地元のパン屋8人から巨大なシュトレンが献上され、ドイツ最古のクリスマス市Striezelmarktでは1560年に36ポンド(約18kg*)もの重さのシュトレンが運ばれた記録があります。この献上セレモニーは選帝侯廃止の後も続きました。
*ドイツポンド=英ポンドx1.1023
現在は「ドレスデン・シュトレン・フェスティバル(Dresdner Stollenfest)」が年に一度開催され(2015年は12月5日、次回2016年は12月3日)、毎年選ばれるシュトレン・ガールとともに巨大シュトレンを運ぶ行列が街中を練り歩きます。クリスマス市のにぎわいもさることながら、このお祭りを迎える地元ドレスデンの人々の心浮き立つ笑顔に会いに行く旅も、思い出深いものになりそうですね。
何かと気ぜわしくなるこの季節。熟成を重ねていくシュトレンを、毎日ゆっくりとひと切れずつ味わいながら迎えるクリスマス・カウントダウンはいかがですか?

■DATA
クリスマスの伝統お菓子ドイツ編〜シュトレン〜














ドイツで一番古いドレスデンのクリスマス市Striezelmarktにてシュトレンの実演販売中。パン職人のおじさんの後方棚に、シュトレン保護組合の品質保証マークのエンブレムが描かれているのがお分かりでしょうか?

ドレスデンのシュトレンはドイツで一番おいしいと評判ですが、「本物のドレスデン・シュトレン」を探すなら、シュトレン保護組合(Stollenschutzverband)認定による品質保証シールが貼ってあるかチェックしてみましょう。厳しい審査基準をパスしたドレスデン周辺の150店余りが、伝統を守りつつもその店独自の工夫を凝らした手づくりシュトレンの味を競っています。
シュトレン保護組合
Stollenschutzverband
※品質保証シールの図案がわかりますhttp://www.dresdner-stollen.com/
「地球の歩き方」ガイドブックシリーズなら・・・「ガイドブック A14 ドイツ」には巻頭特集「ドイツのお祭りガイド」にクリスマスマーケットはもちろん、「2015〜2016年のおもなイベントスケジュール」を収録。もちろんドレスデンの詳しい情報も満載です。コラム「ドイツ最古のクリスマスマーケット」ほか、シュトレン同様ドレスデンの名物でふんわり生地のチーズケーキ、アイアーシェッケEierscheckeが美味なお店も掲載しています。
また「ガイドブック A15 南ドイツ(フランクフルト ミュンヘン ロマンティック街道 古城街道)」の巻頭特集「クリスマスマーケットを訪ねて」「ドイツのスイーツ&伝統菓子」も見逃せませんよ。
「ガイドブック A16 ベルリンと北ドイツ(ハンブルク ドレスデン ライプツィヒ)」の巻頭特集「北ドイツおいしいものカタログ」でずらりと勢揃いしたスイーツもチェック♪。
[2015年12月更新/2013年12月更新/2011年12月]

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