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フランス編〜トレーズ・ディセール・ド・プロヴァンス
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クリスマスの伝統お菓子
フランス編〜トレーズ・ディセール・ド・プロヴァンス

地球の歩き方編集部:欧羅巴三太

この時期クリスマスに向けて華やぐヨーロッパで、昔から愛されている定番のお菓子を集めてみました。第4弾はフランスのトレーズ・ディセール・ド・プロヴァンス(13 desserts de Provence)をご紹介します・・・

地球の歩き方編集部:欧羅巴三太

クリスマスの伝統お菓子
今年も残すところわずかとなりました。大切な人との語らいに、がんばった自分へのご褒美に、甘いお菓子でひと息入れませんか? この時期クリスマスに向けて華やぐヨーロッパで、昔から愛されている定番のお菓子を集めてみました。
ヨーロッパのクリスマス伝統お菓子、第4弾はフランスのトレーズ・ディセール・ド・プロヴァンス(13 desserts de Provence)をご紹介します。
■⇒第1弾 ドイツのシュトレン(Stollen)はこちら■⇒第2弾 ベルギーのスペキュロス(Speculoos)はこちら■⇒第3弾 スペインのトゥロン(Turron)はこちら■⇒第5弾 イタリアのゼルテン〜アルト・アディジェ風(Zelten dell'Alto Adige )はこちら■⇒第6弾 スロヴェニアのポプルトゥニク(Poprtnik)はこちら■⇒第7弾 イギリスのミンスパイ(Mince Pie)はこちら■⇒第8弾 イギリスのクリスマスプディング(Christmas Pudding)はこちら
クリスマスの伝統お菓子
クリスマスの伝統お菓子フランス編〜トレーズ・ディセール・ド・プロヴァンス(13 desserts de Provence)〜
南仏プロヴァンスでは、12月に入ると町のあちらこちらでマルシェ・ド・ノエル(クリスマス市)が開催され、各家庭や街角のショーウインドーではイエス=キリスト降誕の場面に材をとった、この地方独特のサントンと呼ばれる人形たちが飾りつけられます。
いよいよクリスマスを迎えるイヴの日、人々は夜中のミサから帰宅すると家族揃って食卓を囲みます。グロ・スペ(gros souper)と言われる盛大なディナーの始まりです。三位一体を表す3枚のテーブルクロスと3本のロウソクが食卓に調えられ、隣人愛とご先祖様への敬いの気持ちを「貧者の席(le couvert du pauvre)」と名付けられた空席をひとつ用意することで表現します。
ボリュームたっぷりのディナーですが、「キリストの七傷」に受難辛苦の思いを分かつため、肉食は避けておもに魚と野菜を使ったメニューが供されます。地中海に面したプロヴァンスならではの海の幸(タラやウナギなど)と、太陽の恵みを存分に受けた山の幸(カリフラワーやポロ葱、南瓜、アーティーチョーク、セロリなど)が、やはり地元名産のハーブ類とともに煮込み料理やグラタンといった温かいお皿の数々として登場するのです。添えられるパンも、「最後の晩餐」にちなみ13個用意するのだそうです。
こうして家族との語らいを楽しみながらの食事が進むと、いよいよご馳走のハイライト、13種類のデザートを意味するトレーズ・ディセール・ド・プロヴァンス(13 desserts de Provence)の登場です。
すでにお気づきのように、13種類という数もキリストと12人の使徒を意味するとされており、1920年頃から始まったようです。厳密にこの13アイテム、と決まっているわけではなく、基本的な組み合わせに地方色が加わりさまざまなバリエーションがあります。同席者は全員、すべての種類を少しずつ味わうのが流儀とされていて、昔は食べきれないと裏切り者のユダと揶揄されてしまったのだとか。
13種類のうち必ず入れるとされているのは、ポンプ・ア・ルイユ(Pompe a l'Huile)と呼ばれるオリーブオイル入りのパンと4種類のドライフルーツ(干しぶどう、干しいちじく、アーモンド、ヘーゼルナッツまたは胡桃)、2種類のヌガー(Nougat)〜スペイン編(Turron)参照〜です。以上の7種類に加えて、干したディーツ(なつめ椰子の実)、新鮮な果物3種類(リンゴと洋ナシ、さらにオレンジ、ブドウ、メロンなどからひとつ)、カリソン・デクス(エクス・アン・プロヴァンスの名物。アーモンドプードル(粉)にメロン果汁を練り込みシュガーコーティングしたひし形のマジパン菓子)、またぶどうやいちじくから作ったジャムなどが添えられます。
ポンプ・ア・ルイユは、小麦粉にオリーブオイルとオレンジの花の蒸留水を加えて発酵させ、粉糖をかけた香りのよいやさしい甘さの菓子パンです。オレンジは地中海沿岸に多く栽培されており、オレンジ水は南仏のお菓子作りには欠かせないエッセンスウオーターです。「最後の晩餐」と同じくポンプは手でちぎって分け合い、ナイフで切り分けてはいけないとされています。地方によってはポンプではなくフーガス(fougasse)と呼ばれていたり、ブリオッシュで代用されるところもあります。パンそのものをイエスになぞらえ、テーブル中央にポンプを置いてその周りを12種類のデザートで囲むとする解釈もあります。
ドライフルーツ4種は4つの托鉢修道会、キャトル・マンディアン(Quatre mendiants)に由来しています。13世紀初めの西ヨーロッパで創設された、清貧を旨とし托鉢と宣教を主な活動とするカトリック修道会のことで、主たる4つの修道会をそれぞれ衣服の色に照らし合わせて表しています。干しぶどうはドミニコ会、干しいちじくはフランシスコ会、アーモンドはカルメル会、ヘーゼルナッツまたは胡桃は聖アウグスチノ修道会です。
2種類のヌガーはアーモンドとはちみつ、ナッツにオレンジウオーターが入った甘くまろやかな口あたりで、やはりプロヴァンスでは有名なお菓子です。白ヌガーと黒ヌガー(実際はアーモンドの生地とさとうをキャラメリゼした茶色)はそれぞれ、善と悪を表しているそうです。
ディーツもキリスト教とゆかりの深いフルーツで、聖母マリアが懐妊中に毎日食べたとも、なつめ椰子の下でイエスを産んだとも言われています。新鮮なフルーツは秋に収穫した蓄えを示し、オレンジは富の象徴でもあります。
最後のカリソン・デクスは、プロヴァンスを訪れたことのある方ならきっと、見かけたことがあるでしょう。独特の丸みを帯びたひし形のフォルムは、アーモンドの花びらを表したものだそう。砂糖コーティングされた外側としっとりした中味の食感、そしてメロンとオレンジの香り豊かなお菓子です。
ひとつひとつの意味合いに思いをめぐらせながら、イヴの深夜にスイートワインを片手に(これも本場スタイル!)大切な人たちと一緒に冬の夜をゆっくり過ごされてはいかがでしょう?

■DATA
クリスマスの伝統お菓子フランス編〜トレーズ・ディセール・ド・プロヴァンス〜












エクス・アン・プロヴァンス名物、カリソン。愛らしいひし形はアーモンドの花びらをかたどったものだそう

「地球の歩き方」ガイドブックシリーズなら・・・最新刊「ガイドブックA08 南仏 プロヴァンス コート・ダジュール&モナコ」ではトレーズ・ディセール・ド・プロヴァンスカリソンをばっちりご紹介しています。プロヴァンスのクリスマスに関するコラムもあり。「南仏グルメの世界」もお見逃しなく♪
[2015年12月更新/2013年12月更新/2011年12月]

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