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映画『みんなのアムステルダム国立美術館へ』〈旅の誘い度★★★★★
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見てから行くべき!改装ドキュメンタリー完全版
映画『みんなのアムステルダム国立美術館へ』〈旅の誘い度★★★★★

地球の歩き方編集部「A19 オランダ ベルギー ルクセンブルク」編担当プロデューサー:
上田暁世
2004年から始まり2008年には終わる予定だった改装工事が、市民からの反対は受けるわ、館長は交代するわで、さまざまな問題にぶつかり、やっと再オープンできたのは2013年4月。10年もの長きに渡り騒動の現場を追ったドキュメンタリーなのです・・・

地球の歩き方編集部「A19 オランダ ベルギー ルクセンブルク」編担当プロデューサー:上田暁世

美術館好きな方はもちろん、オランダ旅行を控えている方には特にオススメの一本をご紹介します。

舞台は、1885年に開館した歴史のあるアムステルダム国立美術館。レンブラントの『夜警』やフェルメールの『牛乳を注ぐ女』などの傑作を有する美術館で、旅行者にも人気の観光スポットです。

本作は、この美術館の創立以来の大規模改装工事の裏側を追ったドキュメンタリーで、2010年に公開された『ようこそ、オランダ国立博物館へ』の完全版。(前作のレビューはこちらから

レンブラントの『夜警』のあるフロアには、オランダの黄金期ともいえる17世紀の作品が集結

■レンブラントの『夜警』のあるフロアには、オランダの黄金期ともいえる17世紀の作品が集結する。さぁ、内装はどう生まれ変わるのか?


この映画の何がすごいって、延びに延びた改装期間を、腹をくくって10年撮り続けた監督もすごければ、通常なら撮影NGにしそうな場面(美術品オークションの落札失敗の瞬間や、打ち合わせ中の居眠りまで!)も撮影&公開を許した美術館側もすごい。

前作をご覧になっていない方にあらすじをご説明しますと、2004年から始まり2008年には終わる予定だった改装工事が、市民からの反対は受けるわ、館長は交代するわで、さまざまな問題にぶつかり、やっと再オープンできたのは2013年4月。10年もの長きに渡り騒動の現場を追ったドキュメンタリーなのです。

至宝の数々に新しい命が吹き込まれていくさまも興味深い

■絵画の修復作業や収蔵庫に眠る芸術品をどう展示するかの議論など、至宝の数々に新しい命が吹き込まれていくさまも興味深い


前作を鑑賞した2010年には、まだ工事は終わってませんでしたから、「え〜、この美術館どうなっちゃうんだろう…」と、ガイドブック担当として本気で心配してましたが、昨年、無事リニューアルオープンを果たし、実際この目で確かめてきました。

すると、そんなてんやわんやの裏事情を微塵も感じさせないほどに美しく生まれ変わっていたのです。聞けば1日14000人もの来館者を集めているというではありませんか。安堵と感動で、芸術作品そのものよりも、内装や展示方法が気になって、映画を思い出しながら何度も行ったり来たり、館内をぐるぐるしちゃいました(笑)

美しく生まれ変わった国立美術館

■美しく生まれ変わった国立美術館。実はこのグレーの壁の色にもひと悶着あったことが本作で判明!


映画に登場する印象的な人物のひとりが、アジア館館長のメンノ・フィツキさん。日本で見つけ、ほれ込んだ仁王像をアジア館の目玉にしようと奮闘します。彼の仁王像を見る目つきは、まるで恋人か憧れの人でも見つめるかのように、キラキラうるうるしていて、ここまで愛情を注いでくれる人のところに嫁げてよかったねと、まるで親のような心境になってしまいます。

仁王像のみならずアジア館の展示作品もなかなかの見ごたえ

■メンノさんがほれ込んだ仁王像は、島根県奥出雲町の、廃寺となった岩屋寺に収められていたもの。2013年10月には京都から僧侶を招き、仁王像の開眼供養を行った。仁王像のみならずアジア館の展示作品もなかなかの見ごたえ


ちなみに、工事の遅れの一因に、自転車大国オランダならではの、サイクリスト協会からのクレームがあるのですが、この美術館のエントランスはアムステルダムの町の北と南をつなぐ通用門的役割もあるため、自転車通行を禁止したり自転車道の幅を狭めたりするような案はことごとく却下されるのです。

新館長ヴィム・パイベスさん

■新館長ヴィム・パイベスさん。着任早々、意気揚々と改装問題に取り組むが、サイクリストたちから猛反発を浴びて却下された前館長の通路案を復活させようとして問題を蒸し返す


公道と美術館のエントランスを兼ねた通路

■公道と美術館のエントランスを兼ねた通路は市民の声を取り入れ、近未来感漂うこんな形に落ち着きました


実際、自転車の往来は多く、さすが自転車の国オランダ

■実際、自転車の往来は多く、さすが自転車の国オランダ


ちなみに、国立美術館前には「I amsterdam」という大きなオブジェが飾られているのをご存知でしょうか?
これは2003年から続くアムステルダムのキャッチコピー(ダジャレ的ではありますが)で、アムステルダムの財産は「人」であり、「クリエイティブなこの町に住むことを誇りに思う」という意味が込められています。誰かに作ってもらった町ではなく、自分たちの町、という意識の表れともいえるでしょう。

美術館前にある「I amsterdam」のオブジェ

■美術館前にある「I amsterdam」のオブジェ。人気の撮影スポットにもなっている


本作は誰かひとりの行動を追い続けるのではなく、工事現場の主任から、学芸員や建築家、市民まで、あらゆる人々の視点を映し出します。
オランダ人にとってこの美術館は、“誰かの”ものではなく、“わたしたちの”という意識が高いのでしょう。この映画のタイトルどおり“みんなの”美術館なのです。

普段うかがい知ることのできない美術館の裏側や、アートに携わる人々のこだわり、そしてオランダ人気質を垣間見ることのできる本作。映画を見たあとに現地を訪れれば、感動が倍増すること間違いなしです!



◆旅の誘い度★★★★★

『みんなのアムステルダム国立美術館へ』作品データ
原題:Het Nieuwe Rijksmuseum
監督:ウケ・ホーヘンダイク
配給:ユーロスペース

『みんなのアムステルダム国立美術館へ』公式ホームページ
http://amsmuseum.jp/

☆12/20(土)より渋谷・ユーロスペースにてロードショー 他全国順次公開

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