編集部TOP > 地球の歩き方編集部・取材&日記 > クリスマスの伝統お菓子
イギリス編〜ミンスパイ〜
地球の歩き方編集部・取材&日記
地球の歩き方編集部による、取材レポートや日記ブログ。海外旅行ガイドブックの改訂や新刊の制作に向けて、スタッフが現地を旅して発見した最新・おもしろい・お得なネタをご紹介。裏/B面ネタもあり?!

クリスマスの伝統お菓子
イギリス編〜ミンスパイ〜

地球の歩き方編集部:欧羅巴三太
明日はクリスマス、ヨーロッパで昔から愛されている定番のお菓子を集めてみました。前回の特集に続く第7弾はイギリスのミンスパイ(Mince Pie)をご紹介します・・・

地球の歩き方編集部:欧羅巴三太

クリスマスの伝統お菓子
今年も残すところわずかとなりました。大切な人との語らいに、がんばった自分へのご褒美に、甘いお菓子でひと息入れませんか? 明日はクリスマス、ヨーロッパで昔から愛されている定番のお菓子を集めてみました。
ヨーロッパのクリスマス伝統お菓子、第7弾はイギリスのミンスパイ(Mince Pie)をご紹介します。(取材協力:ブリティッシュ・カウンシル英会話スクール

■⇒第1弾 ドイツのシュトレン(Stollen)はこちら
■⇒第2弾 ベルギーのスペキュロス(Speculoos)はこちら
■⇒第3弾 スペインのトゥロン(Turron)はこちら
■⇒第4弾 フランスのトレーズ・ディセール・ド・プロヴァンス(13 desserts de Provence)はこちら
■⇒第5弾 イタリアのゼルテン〜アルト・アディジェ風(Zelten dell'Alto Adige )はこちら
■⇒第6弾 スロヴェニアのポプルトゥニク(Poprtnik)はこちら
■⇒第8弾 イギリスのクリスマスプディング(Christmas Pudding)はこちら
クリスマスの伝統お菓子

クリスマスの伝統お菓子イギリスのミンスパイ(Mincemeat Pie)

「クリスマス伝統のお菓子」第7回、今回ご紹介するのは、イギリスのミンスパイとクリスマスプディングです。

ミンスパイは別名ミンスミート(パイ)とも呼ばれ、ひとくちサイズの丸いパイが一般的。ドライフルーツとナッツにシナモンやナツメグなどの香辛料が入った甘い詰め物に、パイ生地で表面にフタをして、星や十字をかたどった切込みを入れてパウダーシュガーをふりかければ、粉雪舞うホワイトクリスマスの雰囲気十分。エッグノックやホットワイン、紅茶などと一緒に、親しい人たちとの語らいの場で楽しまれています。

気になるのはその名前、ミンスミートの由来です。ミンス(mince)とは細かく刻んだ肉片のこと。日本ではミンチといえばお分かりですね。ミンチした肉入りのパイ、という意味です。何かのたとえかと思いきや、なんと作られた当初は本当にお肉が入っていたのだそうです。初期の頃、マトンパイとも呼ばれていたことからその事実がうかがえます。

はっきりした起源については不明ですが、13世紀のヨーロッパ十字軍遠征から帰還した際、赴いた先の中東で当時流行っていた調理法も同時に伝えられ、人気を博したことに起因するようです。すなわち、肉と果物をスパイスとともに加熱し、酸味と甘味の入り混じった奥深い味わいが好まれるようになりました。当時、イギリスでは干しブドウは手に入りにくく、地中海から運ばれてくる貴重な食材でした。また肉も一般庶民にとっては高級食材であり、安易に用いられるものではなかったようです。

こうして18世紀頃まで(17世紀のイングランド内戦下で偶像崇拝の対象と清教徒たちに疎んじられた時代はあったものの)、本物の肉と南方産のドライフルーツといった贅沢な材料で楽しまれていたミンスパイですが、19世紀のビクトリア時代に入ると、肉の代用品としてスエット(suet)と呼ばれる牛や羊の腎臓の周りの脂が広く使われるようになります。このスエットは他の料理にも用いられ、バターよりも安価な脂分として重宝されました。このスエットを加えた名残りにより、今に伝えられるミンスパイのレシピにはバターは含まれていません。

さらに時代が進むとともに、人々の嗜好も変わり、ドライフルーツやナッツがたっぷり入った、より甘い味が好まれるようになりました。本来はイエスのゆりかごを模ったとも考えられた聖なる神の恵みも、家族や友人たちとのパーティや団らんの場で食べられるにつれサイズも小さく、また形もゆりかごの楕円形から丸く変化していきました。

現在のミンスパイの代表的なレシピには、プラム、干しブドウ(黒と黄緑色の2種類)、干しスグリ、リンゴ、オレンジの皮と果汁、クルミ、シナモン、ナツメグ、クローブ、ジンジャー、甘藷糖、ブランデーなどが使われます。

今回、取材にご協力いただいたブリティッシュ・カウンシル英会話スクールでは、"Traditional British Christmas Food Night!"というワークショップ当日、講師のSam Greet先生自らがイギリスの伝統的なクリスマス三大お菓子〜ミンスパイ、クリスマスプディング、クリスマスケーキ〜を作ってきてくださいました。ワークショップの参加者は、ほとんどがお互い知らない人たち同士だったにもかかわらず、このお菓子のいわれや歴史をグループ別にクイズ形式で答え、最後はお待ちかねの試食タイム。ぐっと打ち解けた雰囲気のなか、和やかなひとときを過ごせました。誰もが笑顔になるおいしさの秘密が、クリスマスで長く愛される理由なのかもしれませんね。

■DATA「地球の歩き方」ガイドブックシリーズなら・・・
「ガイドブック A02 イギリス」では、見逃せない「クラフトビールを味わう」ほか盛りだくさんな特集「英国グルメ事情」や、老舗チョコレートメーカーほか「Made in U.K.の手仕事を訪ねて」などバッチリ収録しています。
[2015年12月更新/2013年12月]

こちらも好きかも

イングランド・サッカーの最高峰プレミアリーグを制したレスターに行ってきた!

イングランド・サッカーの最高峰
プレミアリーグを制したレスターに行ってきた!

クリスマスの伝統お菓子〜総集編〜

クリスマスの伝統お菓子〜総集編〜

ナチュラルな美食の宝庫ウェールズ(英国の食はマズくない!)

ナチュラルな美食の宝庫ウェールズ(英国の食はマズくない!)

ミュージアムが10倍楽しくなる映画2本『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』『ヴァチカン美術館 4K/3D−天国への入口』

ミュージアムが10倍楽しくなる映画2本
『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』『ヴァチカン美術館 4K/3D−天国への入口』

クリスマスの伝統お菓子イギリス編〜クリスマスプディング〜

クリスマスの伝統お菓子
イギリス編〜クリスマスプディング〜

ロンドンのATPワールドツアーファイナルに行って来た! 豪華な最終戦観戦のための参考情報

ロンドンのATPワールドツアーファイナルに行って来た!
豪華な最終戦観戦のための参考情報