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イギリス編〜クリスマスプディング〜
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クリスマスの伝統お菓子
イギリス編〜クリスマスプディング〜

地球の歩き方編集部:欧羅巴三太
メリー・クリスマス! ヨーロッパで昔から愛されている定番のお菓子を集めてみました。昨日のクリスマス・イブに続く第8弾もイギリスから、クリスマスプディング(Christmas Pudding)をご紹介します・・・

地球の歩き方編集部:欧羅巴三太

クリスマスの伝統お菓子
メリー・クリスマス! 今年も残すところわずかとなりました。大切な人との語らいに、がんばった自分へのご褒美に、甘いお菓子でひと息入れませんか? ヨーロッパで昔から愛されている定番のお菓子を集めてみました。
昨日のクリスマス・イブに続く第8弾もイギリスから、クリスマスプディング(Christmas Pudding)をご紹介します。(取材協力:ブリティッシュ・カウンシル英会話スクール

■⇒第1弾 ドイツのシュトレン(Stollen)はこちら
■⇒第2弾 ベルギーのスペキュロス(Speculoos)はこちら
■⇒第3弾 スペインのトゥロン(Turron)はこちら
■⇒第4弾 フランスのトレーズ・ディセール・ド・プロヴァンス(13 desserts de Provence)はこちら
■⇒第5弾 イタリアのゼルテン〜アルト・アディジェ風(Zelten dell'Alto Adige )はこちら
■⇒第6弾 スロヴェニアのポプルトゥニク(Poprtnik)はこちら
■⇒第7弾 イギリスのミンスパイ(Mince Pie)はこちら
クリスマスの伝統お菓子

クリスマスの伝統お菓子クリスマスプディング(Christmas Pudding))

「クリスマス伝統のお菓子」第8回、今回ご紹介するのは、前回に続きイギリスからクリスマスプディングです。

「さあ、いいですか?」
明かりが消された暗い部屋に、ぽうっと青い炎が浮かび上がると、会場の参加者からため息とともに歓声が挙がります。やがてブランデーの芳しい香りが、室内に立ち込め始めます。

炎が消えたら、ほんのり温まったプディングを切り分け、お好みでブランデークリームをかけていただきます。ぎっしりと干しぶどうとナッツが詰まってずしりと重く、芳醇で濃厚な口当たりは、日本人がイメージするプディング(プリン)とは異なる存在感があります。

そしてもし、取り分けられた自分のプディングに銀貨が入っていたら…大当たり! 新たな1年の幸運が約束されるといわれています。コインのほかに、指輪や指貫で生涯の伴侶に出会う暗示とすることもあるそうですよ。

別名プラムプディングとも呼ばれるこのお菓子は、イギリスではクリスマス当日の12月25日に楽しむものとされてきました(同じくイギリス伝統菓子にクリスマスケーキというその名もズバリなケーキがありますが、こちらは12日間続くクリスマス期間の最終日である1月5日に食べる慣わしがあります)。

イエス生誕を待ち望む待降節(アドヴェント)がクリスマスイブの4週間前の日曜日から始まります。さらに遡ること1週間前の日曜日を“Stir-up Sunday”といい、昔は家族全員が揃ってこのクリスマスプディングを作る日とされていました。stirはかき回す、stir upで動かす、奮起するといった意味ですが、これは英国国教教会の祈祷書の一説に由来します。イエス最後の晩餐でテーブルを囲んだ、イエスとその弟子12人の合計13人に因んで、用いる材料は13種類が適切であるともされ、すべての材料を家族の各々が願い事をしながら1回ずつかき混ぜていきます。

代表的な材料は、干しブドウ(別称プラムプディングのプラムとは干しブドウを指します)、クルミやアーモンドなどのナッツ類、シナモン、ナツメグ、クローブ、ジンジャーなどのスパイス類、小麦粉、生のパン粉、ベーキングパウダー、スエット(牛や羊の腎臓周りの脂、第7回 ミンスパイ 参照)、卵、そしてイギリスらしくエールかスタウトのビール類。干しブドウは、ブランデーとオレンジやレモン果汁を合わせた液にひと晩、漬け込んでから使いました。

中世にはすでに作られていたというこのプディングですが、ビクトリア朝 (1837‐1901)に入ると貴族をはじめ上流階級の間では、立派な細工を施した専用の型に流し込んで蒸し、取り出したプディングにイエスの磔刑において冠された茨と流血を意味する、柊の葉と実を飾るようになったといわれています。ただし、この銅製のケーキ型は庶民層には手が届かなかったので、従前のように布で包んで縄でしっかりと口を縛り、なんと洗濯場の湯釜で6時間茹でたそうです。出来上がった姿はまさに“cannonball(爆弾)”でした。

蛇足ながら当時の衣装は大変複雑で重く、洗濯機が普及し満足な洗剤が出回る前までは、大変な重労働でした。汚れを落とすためだけでなく、衛生面の配慮からも、かさばる衣服を熱湯で茹でて煮沸してから絞ってアイロンがけをしていたんだそうです。上流階級なら洗濯婦を雇い、その余裕のない庶民は週1回程度に丸一日を洗濯に費やすことになりました。

さて、そうして蒸し上がったプディングは、十分に冷ましてからブランデーをたっぷり染み込ませて風通しのよい暗い場所に置き、クリスマスの日までじっくりと熟成させました。アルコール含有のため日持ちがしますが、翌年のクリスマスの分も一緒に拵えることも多々あるとか。その場合は2週間に1度くらい、表面にブランデーを塗り足しておくそうですよ。

今回、取材にご協力いただいたブリティッシュ・カウンシル英会話スクールでは、"Traditional British Christmas Food Night!"というワークショップ当日、講師のSam Greet先生自らがイギリスの伝統的なクリスマス三大お菓子〜ミンスパイ、クリスマスプディング、クリスマスケーキ〜を作ってきてくださいました。湯釜がない時代、今は普通にキッチンで作りますが、何といっても長丁場なので、蒸し上がるまで水がなくならないようこまめに注ぎ足すのが大切とのことでした。ワークショップでは参加者がテーブルを囲み、その卓上で冒頭の点灯シーンが繰り広げられました。これだけの大人数分を先生自らが手作りで用意してきてくださるとは、本当に頭が下がります。市販のものとは違う、あたたかなやさしさに包まれたプディングのお味は、しみじみとおいしいものでした。

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「ガイドブック A02 イギリス」では、見逃せない「クラフトビールを味わう」ほか盛りだくさんな特集「英国グルメ事情」や、老舗チョコレートメーカーほか「Made in U.K.の手仕事を訪ねて」などバッチリ収録しています。
[2015年12月更新/2013年12月]

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