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 豪州テニスの伝統を感じるエキシビションマッチ
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クーヨンクラシックに行って来た!
 豪州テニスの伝統を感じるエキシビションマッチ

ライター 平山喜代江
1927年に作られたスタジアムで8500人収容。デビスカップ最終戦の会場だったことも

クーヨンクラシック全豪オープンの前にオーストラリア各州で開催される前哨戦とエキシビジョンマッチのひとつ。最初に始まるブリスベン国際とパースのホップマンカップの翌週、全豪の前週に開催されるのが、このメルボルンのクーヨンクラシックとシドニー国際、ホバート国際、アデレードのワールドテニスチャレンジ(WTC)です。

この中でもクーヨンの大会が特別なのは、その歴史にあります。1972年から1987年までの全豪オープンの会場で、当時は芝のコート。最後の開催となった1987年の男子シングルスの優勝者は現在フェデラーのコーチ、ステファン・エドベリ(エドバーグ)でした。現在のメルボルンパークに移動した1988年からはクーヨンクラシックとして、時期や形式を変えながらエキジビションマッチを行い、1990年から現在のような8人制のラウンドロビン方式(総当たり戦)になりました。

スタジアム入り口

会場のクーヨンスタジアムがあるクーヨンローンテニスクラブはメンバー制の格式高いテニスクラブ。大会開催中もメンバーがやってきてプールで泳いだり、芝のコートでテニスを楽しんだりしています。クーヨン駅が近いため、試合中、踏切の音がカンカンと聞こえて来るのもご愛嬌(ホバートの会場は船の汽笛が聞こえます)。センターコートのサーフェスがメルボルンパークと同じプレキシクッションになっているほかは、木製の客席など昔の雰囲気を残しています。1946年から1986年に7度のデビスカップ最終戦の会場にもなり、1986年はパット・キャッシュの活躍でオーストラリアが優勝した年でした。70年代にはザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ブラック・サバスなどのコンサートも開催されており、メルボルンの人にとってはいろいろと懐かしい場所で、日本でいうと、かつてあった田園コロシアムのような存在かもしれません。そんなレトロ感に惹かれて訪れるオールドファンが多い大会でもあります。



子供が遊べるエリアもある

レースポイントが付かないエキシビションということもあり、コートサイドは企業席に囲まれています。企業名を冠するブースでは、試合中も笑い声が聞こえたり、サーブのときもざわざわしているなど、観客側には通常の大会のような緊張感はありません。全豪前の調整ということで選手の棄権もあり、2014年も錦織選手は1敗したものの、ガスケ選手の棄権で決勝に進み、繰り上がりで優勝しました。とはいえ、2005年のようにアガシ、フェデラー、ヘンマン、ロディック、ナルバンディアンらのトップ選手が顔を揃えたときもありました。歴代優勝者も豪華で、アンドレ・アガシとマイケル・チャン、アンディ・ロディックは3勝ずつ、フェデラーやヒューイットも2勝した優勝者として名を連ねています。

客席のマーキー(天幕下)はスポンサー席

原則、8人の選手が3試合を戦って順位を決めますが、今年は1日目が雨で中止になったため、2日目に4試合行い、3日目は前日に負けた選手同士、4日目は勝った選手同士が失ゲーム・失セット数の順位でそれぞれ3/4位と1/2位を争うことに。1試合目でセットを失った錦織選手は同じくガスケ選手と3/4位決定戦となりました。

今回参加する中でトップランクの錦織選手の応援も多いのですが、やはりここはオーストラリア。地元ダークホースのトンプソン選手が点を入れれば盛り上がりますし、ガスケ選手も人気があって、「アレー」の声が飛び交います。結局、決勝はドルゴポロフ選手のケガでベルダスコ選手2度目の優勝となりました。ちなみにドルゴポロフ選手は全豪オープンに出たものの、1回戦で敗退という結果に。かつてアンディ・ロディック元選手が指摘していたように、全豪前の3試合は選手には大変なのかもしれません。

今年の優勝はベルダスコ、準優勝はドルゴポロフ

錦織選手はクーヨンについて「雰囲気が好きだし、アジアの人がたくさんきてくれて嬉しい」とコメントしており、試合後はたくさんのオーストラリア在住のアジア系の人に囲まれていました。14日の試合はフルセットで雨の中断もあり、疲れていたようですが、試合後はきちんと写真やサインに応え、記者会見に出て、さらにテレビや新聞、地元ラジオ局まで複数の個別インタビューや写真撮影にも対応していました。

クーヨンは1日の試合数が2〜4試合で、夜前には終わります。そのまま全豪オープンの予選を観に行くのもいいし、観光などで夜を自由に過ごせます。また、この週はシドニー国際がチャンネル 7two、アデレードの WTC やホバート国際は FOX などで放送されているので、テレビからも目が離せません。屋根が新設されたマーガレットコートアリーナのお披露目でナダルをフューチャーした fast4 というエキシビションもチャンネル NINE で放送されていました。なお、マイケル・チャンコーチはアデレードのWTCに出て、ジョン・マッケンローらと試合をして、さらにマッケンローはその後シドニー国際でもエキシビションをこなしていました。


1927年設立のクーヨンローンテニスクラブ。選ばれたメンバーのみが入会できる


芝のコートでプレイするメンバー。何ともうらやましい環境

クーヨンのクラブはメンバーの紹介があって初めてウエイティングリストに載り、現在入会まで3年待ちだそうです。そして、すごいのはその施設。テニスコートは芝が26面、クレー22面、プレキシクッションが3面あります。まさにグランドスラム仕様。こういうところで普通の人がテニスを楽しんでいるわけです。クラブハウス内には、歴代のラケットやイボンヌ・グーラゴングなど往年の選手たちのウエア、デビスカップが行われた時代の写真などが展示されています。クーヨンのほかにもオーストラリアには伝統あるローンテニスクラブが今でも存在。全豪オープンのショーコートで「オジオジオジ」と叫んでいる観客も、芝のコートで優雅にテニスをするのもオーストラリア人。クーヨンは、そんなオーストラリアのテニス文化の奥深さを感じに来る施設。全豪オープンに行く前に観戦に行くのもいいと思います。
1934(昭和9)年当時のクーヨンスタジアム

URL:クーヨンクラシック公式サイト
アクセス:メトロ(電車)でCBDの各駅からクーヨン駅まで12〜23分

その他の出場選手(2015年)
ランキング5位と出場者トップの錦織圭

左:昨年からルコックスポルティフを着こなすガスケ
右:ラリーが大好きなフランスのジル・シモン

左:クーヨンデビューとなったセルビアのフィリップ・クライノビッチ
右:オーストラリアの伸び盛り、ジョーダン・トンプソン

左:招待枠のジョン・イズナー。帽子から汗がしたたる汗かき
右:招待参加の英国紳士ジェームズ・ワード

スペインのイケメン、フェリシアーノ・ロペス

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