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―戦いは前週水曜日から始まっている!
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進化を続ける全豪オープン 2015年の歩き方
―戦いは前週水曜日から始まっている!

ライター 平山喜代江
ニシコリノミクス効果で、まさかのNHKでも全豪オープンが放送されるようになった2015年。来年は全豪オープンに行ってみたいと興味を持った方へ、今年変わったことやセンターコート以外の、周辺情報をお伝えしたいと思います・・・

ライター 平山喜代江


サインとカメラに囲まれる錦織選手(MCA)

全豪オープンの会場は毎年進化していますが、今年の大きな変化は新しく屋根が新設されたマーガレットコートアリーナ(MCA)。3.66億豪ドルかけて大規模に改装し、収容人数も6,000人から7,500人に増え、隣のロッドレーバーアリーナ(RLA)との間が屋内コンコースとなり、エアコンが効いた屋内にいながら両コートに行き来できます。この新しいMCAのお披露目として、ナダルをフューチャーしたエキシビション fast4 が開催され、マーク・フィリポーシス、フェルナンド・ベルダスコとショートマッチをファイナルばりの派手な演出で行っていました。

モダンな外観のMCAはNHアーキテクチャーとPOPULOUSの共同設計

収容数も7500人に(MCA)

男子10人、女子は8人が本戦に出場するなど今年はオーストラリアの選手が大活躍。特に若手の躍進は目覚ましく、2013年全豪ジュニアの優勝者ニック・キリオス(キャンベラ出身)と準優勝のコキナキス(アデレード出身)のギリシャ系2人は「Special Ks」と呼ばれて注目されています。特に昨年のウインブルドンでナダルを破った19歳のキリオスへの期待は高く、全豪を放送するチャンネル7はしきりに昨年のウインブルドン4回戦のハイライトを流していました。ヒップホップ好きなキリオスは見かけもいかつい風貌ですが、実は子供のときはぽっちゃりさん。そう、おデブさんでも立派なテニスプレイヤーになれるんです!

オーストラリアはキリオス推し


今年はMCAが有料の第2センターコート扱いとなったため、その分これまで有料だったハイセンス(10,500人収容)が無料となりました。あのMCAでの暑苦しい応援合戦は全豪オープン名物でしたが、それに代わって熱い応援が繰り広げられたのがショーコート2とショーコート3、そしてハイセンス。運営はここにオーストラリア人選手を入れる作戦に出ました。例えば、Day 1 のラトビアのエルネスツ・グルビスとタナシ・コキナキスの1回戦はショーコート3。観客はほとんどオージー。オジオジオジ、オイオイオイの応援はもちろん、コキナキスのポイントごとに壁をバンバン叩きまくる観客。グルビスはひとりで3,000人と戦っているようで正直気の毒でした。結局、グルビスはマッチポイント4本を逃し、フルセットの末、勝利をもぎ取ったコキナキスはコートを一周して観客とハイタッチして喜んでいました。

オーストラリア選手を全力応援(ショーコート3)。手前がグルビス選手

第5シードの錦織選手はMCAやRLAなどセンターコートに組まれる選手となり、別途指定チケットが必要となりました。センターの日陰席でゆったり観るのもいいですが、シード選手や日本人の選手の応援、公開練習の見学など外コートにも楽しみがいろいろあります。トップ選手も練習を行いますので、センターコートの一番前より近くで観ることができます。ただ、ジョコビッチなど人気選手の練習コートは大混雑。掲示板に発表される時間より相当前に行かないと前の方に行けません(席があるコートでは順番街して空けば入れます)。また、必ずしも選手が来るとは限りません。1時間くらい棒立ちして、来ないというアナウンスがあったことも…。コートの上にあるスカイデッキから観ることもできますが、サイン狙いの人が多く、下に集まります。

練習後サインに応じるセレナ

錦織選手の練習に集まる人


さらに、前乗りして行ってみたいのが前週水曜日から行われている予選。予選期間は無料で会場に入れます。全豪オープンは、グランドスラム・オブ・アジアパシフィックという、アジアを冠した唯一のグランドスラムです。ヨーロッパの選手にとってオーストラリアへの遠征は旅費も時間もかかって出るのが厳しくなりますが、その分地理的に近いアジアの選手が出やすく、日本人の選手もたくさんエントリーします。男子は杉田、守屋、西岡、ダニエルの5選手、女子は土居、江口、穂積、尾崎、桑田、青山、波形、今西の8選手が出場。合計13人の日本人選手が予選を戦いました。予選とはいえ男子は128ドローで本戦に出られる16人の枠を目指して3回戦を戦う厳しいもの(女子は96ドローで12人)。結果は、守屋選手がラッキールーザー※となって本戦出場したのみでしたが、だからこそ応援のしがいもあるというもの。伸び盛りの若い選手を観られるチャンスでもあります。
※ラッキールーザー:試合に敗れたものの、勝利者の辞退などにより勝利者と同等の扱いとなった競技者・チームのこと(Wikipediaより)


IMGからプロになった西岡良仁選手。予選2回戦で敗退

また、予選の中にも好カードがあります。予選最終日の土曜日にはユルゲン・メルツァーとスティーブ・ダルシス戦がありました。メルツァーは全仏でベスト4にもなり、キャリアハイ8位でジャパンオープンにもよく来てくれます。ダルシスは2013年のウインブルドン1回戦でナダルを破ったベルギーの選手。2人の試合はフルセットにもつれましたが、大事なところで決めたメルツァーが勝利、本戦に駒を進めました。メルツァーは一昨年から昨年にかけて7ヵ月、肩のケガで戦線を外れ、現在108位。元8位でもランキングが下がると観客の少ない予選から戦わざるを得ない厳しい世界。勝利したメルツァー、さすが元トップ8、コートの外でもサイン攻めにあっていました。

予選3回戦、メルツァーvsダルシス戦


元トップ選手だけに予選でも勝利インタビューがある

オーストラリア勢の躍進もあって、来場者数の新記録を日々更新中。そのため、会場内はますます混んできた印象です。試合コートや練習に、食べ物ブースやトイレへと、とにかく並ぶ覚悟が必要。でも、街の中心地からこんなに近く、会場までトラムで無料で行き来ができるグランドスラムはやはり他にはありません。しかも、MCAの屋根でメルボルンパークの改修は終わりでなくさらに第2ステージの改装が2015年の全豪後にスタートするそうです。進化を続けるインフラと、オーストラリア選手の活躍は無関係ではなさそうですし、オーストラリア人のテニスへの情熱を感じる大会でもあります。

試合が始まる11時まで入場ゲートはセキュリティ待ちの列ができる(Day 2 )

URL:全豪オープン公式サイト

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