編集部TOP > 地球の歩き方編集部・取材&日記 > ユキムネ・ソウイチ、「サン・ジョルディの日」にサイン会
地球の歩き方編集部・取材&日記
地球の歩き方編集部による、取材レポートや日記ブログ。海外旅行ガイドブックの改訂や新刊の制作に向けて、スタッフが現地を旅して発見した最新・おもしろい・お得なネタをご紹介。裏/B面ネタもあり?!

ユキムネ・ソウイチ、「サン・ジョルディの日」にサイン会

『熟年夫婦のスペイン行き当たりばったり移住記』編集担当 栗橋大吉
我らがユキムネ氏は、「サン・ジョルディの日」に、バルセロナの広告代理店の口利きで自著の販売&サイン会を行なうことになったのですが・・・

『熟年夫婦のスペイン行き当たりばったり移住記』編集担当 栗橋大吉

カタルーニャ地方には、バレンタインデーとホワイトデーがいっしょに来たような聖名祝日がある。それが4月23日の「サン・ジョルディの日」だ。ちなみに休日ではない、念のため。

 大切な人や親しい人に、気持ちを込めて本や赤いバラを贈り合い、この日を祝う。一般的には、男性は女性に麦の穂を添えた赤いバラを、女性は男性に本を贈るという。


2

街中にはバラや本を売るスタンドが出て、人でにぎわう。中心部では有名作家が登場してサイン会を行なうなど、イベントとしても楽しめる。この日バルセロナの街は、巨大な屋外の本屋・花屋と化す。実はバルセロナは、カタルーニャ語・スペイン語双方の出版の中心地だそうな


その由来だが、けっこう複雑だったりするのだ。

まず、なぜこの日が「サン・ジョルディの日」なのか? それは、カタルーニャ地方の守護聖人である聖ゲオルギオス(カタルーニャ語でサン・ジョルディ、英語ではセント・ジョージ)が、1700年あまり前に殉教した命日だから。

では、「赤いバラ」はどう関係するのか? それは「サン・ジョルディが退治したドラゴンの血から赤いバラが咲いた」という伝承がこの地方にあって、以来サン・ジョルディは赤いバラと結び付つけられるようになったからである。で、この日は「バラの日」(El dia de la Rosa)とも呼ばれる。しかも、ドラゴン退治は、いけにえに差し出された王女を救うためだったものだから、ロマンティックな要素も加わって、この日に「愛する気持ちを伝え合う」ようになったという。


Photo

人が集まると、いつしか輪ができてサルダーナが始まる。この地方の伝統的な踊りで、男女が交互に手をつないで踊る。フランコ独裁政権時代には、カタルーニャ語とともに禁じられたが、それらは途絶えることなく今に伝えられた。いわばカタルーニャの「抵抗の証」だ

それじゃ、「本」との結びつきは? 実はここからは「商業的」な香りがプンプンするわけで、本を贈る風習というのは百年に満たない歴史しかない。4月23日は、『ドン・キホーテ』の作者セルバンテスの命日であり、シェイクスピアの命日でもある。ふたりとも1616年の同じ日に没したことになるが、実はシェイクスピアの場合はユリウス暦の日付なので実際は異なる。それはともかく、こうした文豪との縁をサン・ジョルディの日と結び付けた書店が登場、この日に本を買うと赤いバラを添えてくれたそうだ。

そんな「サン・ジョルディの日」に、我らがユキムネ氏は、バルセロナの広告代理店の口利きで自著の販売&サイン会を行なうことになった。それも突然。話が決まったのがわずか10日前だったなんて、いかにもスペインだ。おかげでこちらは本の手配にてんやわんや、とんでもない目に遭った(泣)。


6

『熟年夫婦のスペイン行き当たりばったり移住記』に、せっせとサインするユキムネ氏。ここに集まった若者たちは、「日本語教室」の教え子たちだ。師弟愛に国境はないことに、思わず感動。だが、日本ではどうだろう。「師」と呼べる存在が見当たらなくなって久しいような気がする

当日の様子を、ユキムネ氏から届いたメールで紹介しよう。

当日は朝から青空に恵まれ、バルセロナの街中に大勢の人々が繰り出し、お祭りのよう。赤と黄色のストライプのカタルーニャ国旗で飾ったテーブルで、バラの花と本を買いあさる姿があちこちで見られました。主催者の発表では、今年は本の売れ行きが上昇、バラの売れ行きは下降したとか。

さてサイン会ですが、突然の話で満足な告知もできず、日本人はあまり来ませんでしたが、日本語クラスのスペイン人生徒たちが遠くからも来てくれました。バルセロナ中心街の高級日本食レストラン、「SHIBUI」の前に設置されたテーブルで、きっと「何年後かには読めるようになるんだ!」と、10冊ほどの移住記を買ってくれました。もちろんサインは全部日本語、彼らの名前も漢字の当て字で書きました(でも、本の中のすべての漢字を読み解くのは彼らにとって至難の業でしょう)。その後、妻と私は、このレストランでけっこうな日本食をごちそうになりました。


Img_1242

テーブル上、竹製の花差しの赤いバラ、そして麦の穂は、サン・ジョルディの日のシンボル。黄に赤いストライプのテープは、カタルーニャの旗の意匠そのものを表している。会場となったレストラン「SHIBUI」はFCバルセロナの選手が訪れる店としても有名

※使用した写真は、すべて行宗氏からの提供です。


■本の紹介

地球の歩き方 BOOKS 海外エリア 221 熟年夫婦のスペイン行き当たりばったり移住記

著者:行宗 蒼一

定価:本体1,350円+税

発行年月: 2015年12月

判型/造本:四六判並製

頁数:192

ISBN:978-4-478-04825-2

こちらも好きかも

ユキムネ・ソウイチという人物/その2「マルチジャーナリスト」って何?

ユキムネ・ソウイチという人物/その2「マルチジャーナリスト」って何?

写真で見る「ユキムネ・ソウイチ」という人物

写真で見る「ユキムネ・ソウイチ」という人物