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出版記念スペシャル対談
プロが語る南極ツアーの魅力とは? 前編
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「GEM STONE 南極大陸完全旅行ガイド」
出版記念スペシャル対談
プロが語る南極ツアーの魅力とは? 前編

「地球の歩き方」マーケティングプロデューサー 茂藤泰彦
「地球の歩き方」初めての南極旅行本「GEM STONE 南極大陸 完全旅行ガイド」の出版を記念して同書にお手伝いいただいた武居さんと田島さんに対談をお願いして、南極ツアーの魅力を伺いました・・・

「地球の歩き方」マーケティングプロデューサー 茂藤泰彦

このたび「地球の歩き方」関連書籍として初めての南極旅行本、「地球の歩き方 GEM STONE 66 南極大陸 完全旅行ガイド」を出版しました。この本の取材・撮影を担当された武居さんと監修・協力の田島さんに対談をお願いして、南極ツアーの魅力を伺いました。
今回初めて南極に行かれたカメラマンの武居さんと南極ツアーの専門家である田島さんとの対談を通じて、知られざる最後の目的地―南極大陸 の魅力を明らかにしていきたいと思います。




Part1
~南極との出会い~



Wikipedia>南極大陸(2016年8月12日 (金) 00:25の版)にある
/media/File:Location_Antarctica.svg を元に描画しました

(茂藤)
武居さんはこれまでに世界各地を旅されて、今回、初めて南極大陸に行かれた訳ですが、南極の第一印象はどうでしたか?

(武居)
これまではアルゼンチンのウシュアイア(=南極クルーズの拠点となる町。上の地図を参照。赤い点あたり)までは来たことはあったんですが、そこから1000km先にこんなにも素晴らしい世界が広がっているのかって、人生観が変わりましたね。私が生きてきた世界とはすべてが違っていたというか。

(茂藤)
田島さんは2000年に始めて南極大陸に行かれたそうですが、どうだったんですか?

(田島)
私の場合、10日程前に乗る船が決まったと連絡があって、ウシュアイアまで行くことになったのですが、その当時、ゴム長靴も自分で持っていかなければならなかったので、膝ぐらいまであって、マイナス20度まで耐えられるゴム長靴を東京で調達するのには苦労しましたね。防寒服や手袋とかも。
私の乗った船は南米と南極の間にあるドレーク海峡(南米大陸南端と南極大陸の間の海峡)を渡る際、すごく揺れたんですね。かなりの覚悟はしていきましたが、船酔いも多少あって、私はこれから南極ツアーの仕事をしていけるんだろうかと、真剣に考えましたね。自分のことだけで精一杯でしたから、他のお客様のことまで面倒見切れないと思ったんです。

(茂藤)
海が荒れたのはたまたまだったんですか?

(田島)
それが普通なんですね。今思えば、充分に耐えられる揺れだったんですが、初めての経験だったこともあって、不安だったんだと思います。ドレーク海峡を過ぎて、南極半島(地図の青囲み部分)に近づくと、波が穏やかになってほとんど揺れないんですよ。それで毎日のように南極半島に上陸したものですから、船酔いなど、これまでの嫌なことがすっかり忘れてしまいましたね。あまりの素晴らしさに感動して。





(茂藤)
南極半島の景色はどうだったんですか?

(田島)
今までに見たこともない自然の原風景。汚染されていない、地球上でもっともクリーンな場所であることを、私は体で感じましたね。10数名でゾディアックボートに乗るんですが、上陸する際に使ったり、氷山の周辺をゆっくり周ったりするんです。そこで360度見渡しても、自分達だけしかいないんですよ。空気も澄んでますし、匂いもない。本当にまっさらなピュアなところ。

(茂藤)
武居さんは初めて南極半島に上陸されて、空気の味は違いましたか?

(武居)
田島さんのおっしゃっていることも分かりますが、最初の寄港地、サウス・シェットランド諸島(ドレーク海峡の果て。これを超えると南極大陸になる)に着くと、まずはペンギンの匂いがしましたね。オキアミの糞の匂いがすごかったんですよ。でも、ペンギンの存在感が伝わってきて相当インパクトはありましたね。

(田島)
でもそれも1日くらいで馴れちゃうんですね。ですので、2日目の上陸の際は、全く気にならなくなります。最初だけなんですよ。匂いが気になるのは。

(茂藤)
武居さんが乗船された時、ドレーク海峡はどうだったんですか?

(武居)
その時のお天気にもよるんですが、私の時は揺れなかったですね。でも、帰りはかなり揺れたんで、クルーに訊くと最高の揺れを10とすると4ぐらいだと言っていました。これ以上揺れることがあるのかと、正直、驚きましたね。

(茂藤)
ドレーク海峡を渡るのにどのくらいかかるんですか?

(田島)
1日半くらい。夕方に乗船して、だいたい23時半くらいから揺れ出すんですよ。万一、翌朝も揺れていたら、無理して朝食を摂る必要はないです。

(武居)
最初、「いつ氷山が見えるか?」というクイズが船内で出されるんですが、何日の何時頃見えるのか回答用紙に記入し、皆で当て合うんですよ。そんなことしていたものですから、本当に氷山が見えた時は感動しましたね。

(茂藤)
氷山は動いているんですか?

(武居)
そうなんです。氷山は動いているというか、流れているというか?それがドレーク海峡を渡った後くらいに流れてくるんですよ。

(茂藤)
クルーズ船はどのあたりまで行くんですか?

(田島)
通常は南極圏に入る手前あたりが多いですね。もちろん、南極圏に入るコースもありますが。南極大陸に繋がる半島に降り立つというケースが一般的で、その周辺にある小さな島々を巡ることが多いですね。とても美しい風景が広がっています。




クリックすると地図が広がります。英文表記ですが地名などが分かります。
Wikipedia>南極大陸(2016年8月12日 (金) 00:25の版)にある
/media/File:Antarctica.svg を用いています


Part2
~南極で感じる神秘的なパワー~



(茂藤)
唐突ですが、南極で不思議なパワーとか神秘的な力とか、感じたことはありますか?

(田島)
本当に不思議な出来事ってありますね。船に乗っていると、クジラの群れがグワァーっと押し寄せてきて、まるで我々を大歓迎しているかのようなフレンドリーなオーラを感じるんですよ。

(茂藤)
クジラの他に何かありますか?

(田島)
ルメール海峡っていう狭い海峡があるんですが、断崖絶壁の雪山に朝日がワァーっと反射して光るんですけど、とても神々しくて、我々人間は自然に生かされているんだという感覚が実感として分かるんですよ。

(茂藤)
人生観が変わってしまうんですか?

(田島)
南極半島に上陸し、丘の上に上って、一番上から見える大自然の世界も素晴らしいですね。心が洗われるというか、心の芯まで澄み切ってしまうような世界。現代社会の中で薄汚れてしまった煤が掃われるような、本当にピュアな、頭のてっぺんから足の先まですべてが浄化されるといったイメージ。体のどこかが悪くても、それが正常に戻るような気がしてくる感じです。何か不思議な力が戻させてくれる。




(茂藤)
武居さんはどうでしたか?

(武居)
僕は森が好きなんですが、南極って木がないんですけど、森の中にいるような自然のパワーを感じますね。森の中にいるような生命の力、神秘的なパワーを感じるんです。その場に立つと、写真や言葉だけでは伝わってこない何かを感じるということなんですね。理屈じゃない。


© Taizo Takei All Rights Reserved.


(茂藤)
ところで、この本の中に、南極半島に上陸してテントを張っている写真がありましたが、どうでしたか?

(武居)
あれは本当に良かったですね。20時過ぎから上陸して、テントを立てて、それで寝るだけなんですけど、それはそれは貴重な体験でした。目の前に氷河があって、夜、崩れる音が、ドンドンと聞こえてきて。時々、外に出て、満天の星空見て。気持ち良かったですね。


Part3
~氷河に接近して~


(茂藤)
ここで氷河について聞きたいんでが、大きな氷河が崩れてきたりするんですか?

(武居)
この本にも載っていますが、私が撮影した氷河が崩れてきた時の写真がありますよ。突然、ゴォーンと崩れてきて、私は後ろで撮っていたんですが、凄いんですよ。後で船に戻って、ムービーで撮っていた映像を見たのですが、津波みたいな波が押し寄せてきて、震動音がすごい迫力でした。大きなビルが崩れるくらいの衝撃で。





(田島)
ゾディアックボートのドライバーは常に危険度を察知して操縦していますので、近寄れる場所というものが良く分かってるんです。



© Taizo Takei All Rights Reserved.


(武居)
ところで、氷河は曇ってても綺麗なブルーでしたね。不純物がないんで、太陽の光を反射してブルーになるんでしょうね。氷河は酒に入れて飲むこともできるんですが、私は飲みました。

(田島)
ゾディアックボートにお酒が積まれていて、その場で氷河をコップに入れて、飲むこともできるんですよ。氷河を船に持ち帰って、船内のバーで、バーテンダーにカクテルを作ってもらうこともできますね。

(武居)
氷河は本当に透明でしたね。味は・・・、もちろん美味しかったですね。ウィスキーで飲む人もいれば、カクテルで飲む人もいます。



© Taizo Takei All Rights Reserved.

(中編に続く)

▽対談者
武居台三さんの略歴
取材・撮影
キューバ革命の年、伊勢湾台風の日に長野県で生まれる。1986年にパキスタンのヒンズーラージ山域の登山を機に写真家を志す。その後フリーランスで雑誌や音楽関係の仕事に従事。1993年に共同で編集プロダクション「グルーポ ピコ」を設立。公益社団法人日本写真家協会会員。

田島和江さんの略歴
監修・協力
世界の辺境地へのツアーを数多く企画。1997年にツアー・オブ・ザ・イヤー(アイデア企画特別賞)を受賞後、連続2年ツアー・オブ・ザ・イヤーに入選。2000年、地球最果ての地、南極に行ったのを機に以後南極ツアーを積極的に展開。極地専門の旅行会社、株式会社トライウエルインターナショナル代表。

司会は、マーケティングプロデューサー 茂藤泰彦が担当した。

この記事で使用した写真の著作権は、武居台三、株式会社トライウエルインターナショナル、もしくは株式会社ダイヤモンド・ビッグ社が有しています。

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