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ドイツで220万部を超えるベストセラー小説が原作の青春ロードムービー『50年後のボクたちは』が9月16日より公開!

「地球の歩き方」プロデューサー:S&O

© 2016 Lago Film GmbH. Studiocanal Film GmbH

物語の主人公は14歳の中学生、マイク。学校のクラスメートからは変人扱いされ、片思いの女の子タチアナの誕生パーティにも招待されず、両親も母がアル中で父は浮気中という不穏な家族で冴えない退屈な毎日を送っています。そんなある日、ロシアから来たというちょっと危ない感じの転校生がクラスに現れました。名前はチチャチョフ。鋭い目つきで「チックと呼べ」という彼にマイクは目を合わせることもできません。
夏休み。家族がいなくなってひとりになったマイクのところに突然チックが現れてマイクをドライブに誘います。目指すところは、チックのおじいさんが住むという「ワラキア」。わかっているのはただ南へ走ること--。

クラスのはみ出し者、マイクとチックが無断で拝借した車で夏休みの旅に出る

この映画の原作は、2013年に48歳で早世したドイツの作家ヴォルフガング・ヘルンドルフによる小説「14歳、ぼくらの疾走」。彼は自分に脳腫瘍が発見された直後に、短編だった作品を加筆し死を意識しながらこの青春小説を書き上げたということです。出版されるとドイツで220万部を超えるベストセラーとなり、1年後に上演された舞台版も大好評でそのシーズンのドイツでの最多上演作品となりました。現在、小説は26カ国で翻訳されています。
映画化のメガホンを取ったのは、ファティ・アキン。36歳にしてベルリン国際映画祭(2004年)、カンヌ国際映画祭(2007年)、ヴェネツィア国際映画祭(2009年)の三大映画祭の主要部門の賞を獲得しているドイツの名匠です。彼はこの原作に惚れ込み、自ら映画化を熱望。「すべての小説が『50年後のボクたちは』のように映画化されるべきだ」と絶賛される作品に仕上げました。

退屈な日常から解き放たれて旅する車中に流れる音楽は? なんと、リチャード・クレーダーマンの「渚のアデリーヌ」。これがなぜかぴたっとはまって心に沁みるのです

広大な畑のど真ん中の一本道は、ふたりにはワラキアを目指す速度無制限のアウトバーンのようだ

最初はチックの強引さに押し切られて、嫌々車に乗り込んだマイクでしたが、タチアナの誕生パーティに押しかけて準備していたプレゼント(彼女を描いたイラスト)を渡してひと暴れし(クラスメートの前でドリフトスピン!)、スマホを投げ捨て日常から開放されていくうちに、チックとのドライブを積極的に楽しむようになりました。トウモロコシ畑で爆走して名前を書こうというのはマイクの提案。未成年が運転していることがばれたり、警察に追われて離れ離れになったり、大家族の優しいもてなしを受けたり......。そしてイザとの出会いと別れ。道中の様々な体験がふたりには一生忘れられないものになっていきます。
中でも印象的なのは、風力発電機の下で野宿をして星空を見上げながら、宇宙のどこかで2匹の虫たちだけが今の自分たちの存在を信じていると妄想するシーン。ここでふたりは語り合いながら、次第に自分たちがいかにちっぽけな存在か、でもかけがいのない存在でもあるのかに気づいていくところを見事に表現しているように感じました。

悪臭を放つボロをまとい、泥だらけでぼさぼさ髪の少女・イザが見違えるほどキュートな娘に変わっていくのも胸がトキメキます

ふたりのワラキアへのドライブは、思いも寄らぬ形で唐突に終わりを迎えます。そしてふたりは別れ別れになり、マイクはまたもとの日常に帰っていきます。家族も学校のクラスも、夏休みの前と何も状況は変わっていません。変わってしまったのは、隣の席にチックがいないこと......。
さらに、もうひとつ変わったものに私たちは気づきます。それは、マイクの「顔」。物語の始まり、マイクは冴えない中学生。自信なさげに目がいつも宙をさ迷っているようでした。しかしそれが、何物にも動じない自信に満ちた表情に劇的に変わるのです。そしてラストシーンが静かにその理由を私たちに示してくれます。
ドイツの文豪ゲーテは、旅について「人が旅をするのは到着するためではなく、旅をするためである」と書き残しています。『50年後のボクたちは』は、14歳の少年たちの何ものにも代えがたい「旅」の物語なのだと思いました。

個人的には地元ヨコスカのスカジャンが映画のキーアイテムのひとつに使われていたのがウレシイ

蛇足ながら、最後にもうひと言。
ストーリーからはちょっと外れますが、イザはもちろんのこと、アル中のお母さん、旅の途中で食事を振舞ってくれた大家族のお母さん、そしてちょっと敵役っぽい、片思いのタチアナも、父親の愛人のモナも、この映画に登場する女性たちは、どこかかわい気のあるチャーミングな女性に描かれていたのも好印象でした。

■映画『50年後のボクたちは』作品情報

9月16日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー!
原題:Tschick
監督・共同脚本:ファティ・アキン
脚本:ラース・フーブリヒ
原作:ヴォルフガング・ヘルンドルフ(「14歳、ぼくらの疾走」)
製作年:2016年
製作国:ドイツ
上映時間:1時間33分
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:www.bitters.co.jp/50nengo/
Facebook:www.facebook.com/FatihAkin.movie/
Twitter:@50nengo_movie
※本文中の写真は、すべて © 2016 Lago Film GmbH. Studiocanal Film GmbH

■舞台情報

『50年後のボクたちは』の舞台版も日本で初演されます。
舞台タイトル:チック Tschick
翻訳・演出:小山ゆうな
出演:柄本時生、篠山輝信ほか
公演日:2017年8月13日(日)~8月27日(日)
会場:シアタートラム
URL:setagaya-pt.jp/

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