「地球の歩き方 チェコ/ポーランド/スロヴァキア編」担当:石飛千尋
■華やかな旧市街広場のクリスマスマーケット
11月も末になると、プラハの町はクリスマスの準備で浮き足立ってくる。華麗な建築物で囲まれた旧市街広場には巨大なツリーが設営され、クリスマスマーケットが開かれて、オーナメントやリース、キャンドルなど、彩り豊かな品々を揃えた屋台が並ぶ。
■素朴でぬくもりの伝わるオーナメントの数々
おすすめは、かわいらしい素焼きのオーナメントだ。安価なので、クリスマスツリーに吊したり、部屋の壁を飾ったりしようと思って、ついついたくさん買ってしまう。スノーマンや星など定番モチーフのほかに、魚をかたどったものが多いことを不思議に思うかもしれない。魚の形をしたお菓子が売られているのも目につくだろう。
実は、チェコでは、魚もクリスマスの重要なモチーフ。何故なら、クリスマスのごちそうに"幸運のシンボル"として、鯉を食べるという伝統的な習慣があるのだ。
■丸々と太った鯉はクリスマスのごちそう用
12月半ばの町なかには、大きな水槽で泳ぐ、まるまると太ったグレーの鯉を売る露店が現れる。南ボヘミア地方の人工池で養殖されたものだ。チェコの人々は持ち帰って、クリスマスまでしばらくバスタブで飼っておくのだとか。また、頼めばその場でさばいてもくれる。周囲の道路には、さばいたときの血が流れるままになっていて、びっくりしてしまう。
鯉はフライにして食べるそうだが、おいしいというよりも、あくまで縁起物という存在のようだ。小骨が多いので、毎年のどに詰まらせてしまう人が現れるというあたり、日本の正月の餅に似ているような感じもする。
スーパーマーケットのお菓子売り場には、サンタクロースや天使の絵の銀紙で巻かれたチョコレートがずらりと並ぶ。よくよく見ると、"聖ミクラーシュ"と書かれたものや、恐ろしげな顔をした(でもちょっとユーモラスな)悪魔の絵も多い。
聖ミクラーシュ(聖ニコラス)とは、貧しい人々に贈り物をして、サンタクロースのモデルとなった4世紀の聖人。12月6日の聖ミクラーシュの日前夜になると、天使と悪魔を従えた聖ミクラーシュが各家庭を回り、子供たちに「今年はいい子でしたか?」と質問するそうだ。良い子には天使からごほうびが、悪い子は悪魔に脅される。見た目も内容も日本のナマハゲにちょっと似ていておもしろい。
チェコの12月は氷点下を下回る日も多く、観光やショッピングを楽しんでいる間に冷え込んでしまうだろう。そんなときにうってつけなのが、露天で売られているホットワイン。ホットワインというと一般的に知られているのは赤だが、チェコでは白のホットワインが飲める。
シナモンやクローブ、オレンジなどで風味付けされた、ほのかに甘いホットワインと、焼きたて熱々のソーセージの組み合わせは、やみつきになるおいしさだ。生地を棒に巻き付けてチクワのような形に焼き、砂糖をまぶしたトゥルドロTrdloというお菓子もおいしいので、ぜひ試してみて。
■マーケットの一角では、本物の馬によるメリーゴーラウンドが子供たちの人気を集めている