日本三大急流で名高い球磨川の中流域にある城下町・人吉。辺りは広い盆地になっているので川幅は広く流れは緩やかである。市街地の周辺に温泉の源泉が点在していて、温泉旅館や共同浴場はそれぞれ泉質の違う高温の自家源泉を持っているという。だから結構古くから知られた温泉地でありながら、旅館が集中したいわゆる温泉街が形成されているわけではない。 昨年開通した九州新幹線に乗ってみたくて、博多から熊本までは「つばめ」に乗った。木製のシートが良い。熊本からは車で高速道路経由である。JR肥薩線で行く手もあるが便利はあまり良くない。車だと人吉にインタチェンジがあるし、高速道路は山の中に沢山のトンネルを穿って直線的に走っているから速いのである。 人吉温泉で温泉巡りをするなら先ずは「元湯」に仁義をきれといわれた。日本百名城の一つだという人吉城の城跡地区にある公衆浴場である。「鶴瓶の家族に乾杯」というNHK...
チェコにはカルロヴィ・ヴァリ(ドイツ語:カールス・バート)という有名な温泉がある。ゲーテが愛したということでも、また北海道のカルルス温泉の名前の基になったことでも知られている。これをチェコNo.1の温泉地とすると、No.2がマリアンスケ・ラーズニェ(ドイツ語:マリエン・バート)である。温泉保養地として本格的に開発されたのは1889年だという。英国王エドワード7世やオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世などがリピータだったそうだ。行ってみると公園を取り巻くホテル群の佇まいなどから高級リゾートとして開発されたことは十分読み取れた。 プラハからは高速道路を通って3時間ほどかった。ノヴェー・ラーズニェというエドワード7世が滞在したという格調高いホテルにチェックインした。 部屋で水着に着替え、バスローブを羽織って早速一階のスパ(温泉)へ行った。噴流や打たせのある温泉プールには結構な数の...
長野県・白馬村はスキーのメッカである。冬季オリンピック滑降の会場になった八方尾根を始め、白馬47、五竜遠見、それに岩岳と長い滑降コースが揃う人気スキー場が並んでいる。スキーの後は先ず温泉に浸かって、酷使した足の筋肉をほぐしておかなければならない。特に歳を取ってくると、その日のうちに温泉で足をよく揉んでおかないと翌日足が動かない。 幸い白馬村には「八方温泉」と「塩の道温泉」という二つのメジャーな源泉があり、それぞれ多くの共同浴場、ホテル、民宿などに供給して村全体が一大温泉郷になっている。従ってスキー場の近くに沢山の温泉があって、温泉探しに困ることはない。それらの中で天気が良くて山が良く見える日は「みみずくの湯」に行く。今年もアフタースキーで浸かってきた。お湯は「八方温泉」系で、日本一だという強アルカリ性(pH12)で透明の温泉が掛け流されている。近くに同系の「第一・第二郷の湯」と二つ...
「アルプス三大名峰の旅」にはアルプスの最高峰モンブランの観光が含まれるのが一般的だ。モンブランはスイスではないのだが、前回書いた温泉ロイカーバートから軽く日帰りができる。国境の峠を越えてフランスのシャモニーへ行く。ゴンドラでエギーユ・ド・ミディの展望台に昇ればモンブランの文字通り白い頂から、垂直の岩壁を誇るグランジョラス、エギーユ・ド・ヴェルテなどの針峰群さらに遠くにはマッターホルンなどアルプスの圧巻が広がる。 アルプスの眺めに圧倒されたら帰って温泉である。ロイカーバートのアルペンテルメにはローマンアイリッシュ浴場が付属している。ローマンアイリッシュ浴場の原型は有名なドイツのバーデン・バーデンのフリードリッヒ浴場で、裸になってのんびりと2時間のコースメニューをこなすリラックスの効果の高い温泉である。特に日本人は裸で温泉に浸かるものだと思っているから、水着着用の温泉よりもローマンアイ...
年末の大事な行事の一つに忘年会があるが、温泉好きは「忘年温泉」をする。昨年は絶景ポイントとして知られる達磨山高原からの富士山を眺めた後、伊豆半島の西海岸を走って南伊豆の下賀茂温泉に行った。ネットで探していたら、大層リーズナブルな価格で「特別企画:湯めぐりプラン」というのが見つかった。湯めぐりというのが気に入って迷わず予約した。その旅館「伊古奈」は、下田の白浜神社の祭神「伊古奈姫の命」に因んで付けられた名前だそうだ。伊豆は火山地帯だから女神が一帯を仕切っていたという。「伊古奈」も美人女将が仕切っているということだったが、生憎出張中とか。しかしフロントにはにっこり美人がいたし、中居さんもにっこりだったので文句は言わない。 部屋は二階だったから、先ず二階から出て行く露天風呂「銀河の湯」に浸かった。下駄を履いて外の石畳を少し登ったところに、森に囲まれたなかなか雰囲気の好い露天があった。自然...
スイスと言えばアルプス。アルプスと言えばマッターホルン。あのウィンパーによる悲劇的初登頂で有名になり、アルプスの象徴的存在である。したがってマッターホルンを見なければスイスへ行ったことにならないのだが、折角行っても雲がかかっていたら意味がない。そこで2〜3日は温泉に泊って快晴の日を待ちたくなる。マッターホルンの麓・ツェルマットまで一時間余りで行ける拠点として優れた位置にある温泉がロイカーバート(Leukerbad)である。 ロイカーバートは囲りを3,000米級の峰々の急峻な岩壁に包み込まれた谷間にある。その岩壁を越える峠道はヨーロッパの南北を結ぶ街道だったようで、ロイカーバートはその宿場町として賑わい、同時に温泉保養地としても繁盛したそうだ。かの文豪ゲーテもこの地を愛し、駕籠に乗って峠の絶壁を越えてやってきたとのこと。 ロイカーバートには公共温泉館が二つある。その一つアルペン...
南伊豆に行った帰り道、国道136で下田へ出てそのまま東海岸の国道135を北上した。伊豆半島は東海岸にも至る所に温泉が湧いている。海を臨む露天風呂としては北川温泉の黒根岩風呂が有名だが、混浴だからと連れが難色を示す。しかし少し南の熱川にも雄大な太平洋を望む立ち寄り湯があると聞いてそちらに寄ってみた。国道から温泉街に向けて下って行くと「高磯の湯」の幟旗がやたらと目につく。海岸に出て矢印に従って進み、最後の幟旗の所に駐車場と受付小屋があった。海に浮かぶ伊豆七島を見渡す絶好の立地だ。男女別の温泉は石段を下りて水を抜いたプールの脇を進んだところにある。海に直接降りることができそうな位置に、大きな石を並べて縁取った広い露天があり、真ん中に置かれた岩の中央からお湯が湧きだす仕組みが造られている。風もなく天気が良かったせいもあるが、一目見て五つ星を付けたくなるような雰囲気だ。先客の若者二人は丁度湯からあ...
スイスの玄関口チューリッヒの近くのシンツナッハに名湯がある。スイスにはバーデン(温泉)という由緒正しい温泉がある。ヨーロッパ三大バーデン(ドイツ:バーデン・バーデン、オーストリア:バーデン・バイ・ウイーン、スイス:バーデン)の一つである。バーデンはチューリッヒの近くにあるのだが、周辺のアーレ川流域一帯は温泉の湧く地形なのだそうだ。シンツナッハ温泉(Schinznach Bad)もバーデンに近い。アーレ川はベルンの方から北東に流れてきており、やがてライン川に合流する。その川が氾濫して流れが変わり、そこに温泉が湧出したのだという。最初に温泉が湧いたのは1,651年だそうだが、その後は氾濫のたびに泉源の位置が変わったということだ。 予約しておいた「クアホテル」は河川敷だったと思える緑あふれた広い敷地にあった。1,830年の築だという弓状になった石造りのウイングを持つ格調高いホテルだった。...
絶景露天のある温泉はことのほか価値が高い。絶景の要素は一般に山と海であるが、その中でも海に沈む夕陽を愛でながら湯に身を沈める快感は筆舌に尽くしがたいものである。西伊豆は西側が海なので、海に面した露天があれば夕陽の絶景が望める。そのことに気づいて探してみたら堂ヶ島温泉ホテルの露天が条件を満たしていることが分かった。西伊豆は横浜の自宅からは150キロほどなので気軽に出かけることができる。今までなぜ行かなかったのだろうと思いつつ、ともかく東名高速に乗って出かけたのである。 沼津ICの出口が新しくなっていてうっかり迷ってしまった。沼津市内を南下し三津浜で海鮮ランチにした。そこから堂ヶ島へは半島の西海岸を走った。途中に「恋人岬」というのがあった。覗いてみようと車を停めたが、岬まではかなりのアップダウンがありそうだったので行くのを止めた。どうやら年寄りの出る幕のない所らしい。更に南下すると「黄...
ドイツの温泉をネットで検索すると、いつもトップに出るのがテルメ・エルディング(Therme Erding)である。人気No.1の温泉ということなのだろう。エルディングはミュンヘン空港の傍の町である。ホテルのフロントで温泉に行くのだと言うと、「日本から温泉に入りに来たのか?」と驚いた顔をされた。「日本でも有名な温泉なんだよ」と答えると更に目を丸くした。地図を貰って車で温泉へ行った。ホテルから5〜6キロあったが、途中に信号は二つしかなかったので10分ほどで着いた。駐車場がやたらと広い上に別の大きな4階建ての駐車場まである。なんだか大きな遊園地的な構えで、やや戸惑いを覚える温泉館だった。 テルメ・エルディングは10年ほど前に出来た超大型の日帰り温泉施設である。温泉、サウナ、療養温泉、それに子供連れ向きの温泉遊園地と四つのエリアの集合体になっている。「ヨーロッパ最大の温泉施設」を謳っている...





